業務効率化ツールを入れても定着しない理由|システム屋の本音
正直に言うと、tugiloが現場で何度も見てきた「定着しない構造」は、ツールの善し悪しより「急いでいる」「正解を探している」「自分で考える時間がない」のどれかが先にあります。
- ITツールを導入する立場の経営者・役員の方
- 社内でIT担当・DX推進を任された方
- 「ツールを入れたのに使われない」と悩んでいる方
ツールを入れたのに誰も使わない、使っているのは一部の人だけ、結局元の手作業に戻った——。このような状況は決して珍しくありません。AIには限界があります。全部任せようとすると、現場は使わなくなります。AIを使わない、という判断も立派な選択です。
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ツールは入れたのに使われない現実
業務効率化ツールを導入したのに、現場で使われないケースは非常に多いです。
- 導入して3ヶ月、使っているのは2人だけ
- 便利なはずなのに、現場が「前のやり方がいい」と言う
- ツールの使い方研修をしたのに、誰も覚えていない
- 結局、Excelと手作業に戻ってしまった
tugiloの相談現場では、こんなケースがありました。
事例A:卸売業(従業員30名)
「顧客管理システムを200万円かけて導入したが、営業が『入力が面倒』と使わず、結局Excelで管理している」という状態で2年が経過。システムは誰も開かない。
事例B:サービス業(従業員15名)
「勤怠管理ツールを入れたが、パートさんが『スマホの操作がわからない』と拒否。結局、紙のタイムカードと二重管理になった」という状態で、管理者の手間が2倍に増えた。
よくある誤解は、「ツールが悪い」「現場が抵抗している」というものです。しかし、本当の原因は別のところにあります。
現場が悪いわけではない
ツールが定着しない原因を「現場の抵抗」と決めつけるのは、間違いです。
- 「便利なツールなのに、なぜ使わないんだ」
- 「抵抗勢力がいる」
- 「ITリテラシーが低い」
- 「変化を嫌っている」
tugiloがこれまで見てきた現場では、現場は決して「変化を嫌っている」わけではありません。
実際には、以下のような理由で使えない状態になっています。
- 「何に使えばいいかわからない」
- 「前のやり方より手間が増えた」
- 「エラーが出たとき、誰に聞けばいいかわからない」
- 「忙しくて、新しいやり方を覚える時間がない」
- 「結局、自分だけが使っても意味がない」
これは「抵抗」ではなく、運用設計の不足です。
定着しない3つの構造的理由
tugiloが現場で見てきた「定着しない理由」は、大きく3つあります。
理由①「現場の業務に合っていない」
最も多い理由は、ツールが現場の業務フローに合っていないことです。
- 「このツールなら何でもできる」と導入したが、実際には自社の業務に合わない
- カスタマイズが必要だが、追加費用がかかると言われた
- 既存のExcelやシステムとの連携ができず、二重入力になった
tugiloの相談現場では、こんなケースがありました。
事例C:製造業
「汎用の在庫管理システムを導入したが、自社の『仕掛品』の概念が無く、結局Excelで別管理」という状態。システムは在庫の一部しか反映されない。
事例D:不動産業
「顧客管理ツールを入れたが、物件と紐づけられず、物件情報は別のExcelで管理」という状態。結局、顧客と物件を手動で突合している。
なぜこうなるのか
導入前に「自社の業務がどう動いているか」を整理せず、「ツールに合わせればいい」という発想で進めてしまうからです。
- 現場の業務フロー(誰が、何を、どの順で処理しているか)
- 例外対応(イレギュラー時の処理)
- 既存システムとの連携(Excelや他ツールとの関係)
- カスタマイズの必要性(標準機能で足りるか)
「ツールに業務を合わせる」ではなく、「業務に合うツールを選ぶ」が先です。
理由②「使い方がわからない、聞く相手がいない」
2つ目の理由は、操作方法や判断基準が曖昧で、誰に聞けばいいかわからないことです。
- 研修は受けたが、実務で使うと「あれ、どうするんだっけ?」となる
- マニュアルはあるが、分厚くて読む気にならない
- エラーが出たとき、誰に聞けばいいかわからない
- 結局、詳しい人だけが使う状態になる
tugiloの相談現場では、こんなケースがありました。
- ツール導入時に2時間の研修を実施
- 翌日、現場で「ここどうするんだっけ?」という質問が殺到
- マニュアルを配ったが、どこに何が書いてあるか誰もわからない
- 詳しい人に質問が集中し、その人の業務が止まる
- 結局、元のExcelに戻る
なぜこうなるのか
研修で「操作方法」は教えても、**判断基準(いつ、何を入力するか)**が明確でないからです。
- 1枚のチートシート(A4で完結する操作手順)
- 判断基準の明文化(いつ、何を入力するか)
- エラー時の対応先(誰に聞けばいいか)
- 成功事例の共有(before/after を1週間ごとに見せる)
tugiloでは、「研修」ではなく、運用で回る仕組みを作ります。
理由③「一部の人だけが使っても意味がない」
3つ目の理由は、一部の人だけが使っても、業務フロー全体が効率化しないことです。
- 営業がツールに入力しても、事務が見ない
- 事務がツールで管理しても、営業は口頭で依頼してくる
- 結局、ツールとExcelの二重管理になる
- 「全員が使わないと意味がない」という雰囲気が広がり、誰も使わなくなる
tugiloの相談現場では、こんなケースがありました。
事例E:小売業
「店舗スタッフがタブレットで在庫を入力しても、本部はExcelで管理」という状態。結果、店舗は「入力しても意味がない」と感じ、誰も使わなくなった。
事例F:建設業
「現場監督が工程管理ツールを使っても、職人は紙の工程表を見る」という状態。結果、現場監督だけが二重管理になり、ツールを放棄した。
なぜこうなるのか
導入時に「誰が、どのタイミングで、何を見るか」を決めていないからです。
- 最初の1業務だけに絞る(全社展開ではなく、1チーム・1業務から)
- 関係者全員の役割を決める(誰が入力、誰が確認、誰が最終判断)
- 2週間で評価する(効果が出ているかを短期で確認)
- 成功したら横展開(他チーム・他業務に広げる)
tugiloでは、「全員が使う」ではなく、1チーム・1業務から始めることを推奨します。
「誰のためのツールか」が抜けている
定着しないツールに共通するのは、「誰のためのツールか」が曖昧なことです。
- 「競合が使っているから」
- 「経営層が『効率化しろ』と言ったから」
- 「補助金が使えるタイミングだから」
- 「営業に勧められたから」
tugiloの相談現場では、こんな話がありました。
- 社長が「業務効率化ツールを入れる」と決定
- 現場に相談せず、営業担当の勧めで契約
- 導入後、現場から「これ、何に使うんですか?」と質問が殺到
- 「社長が決めたから使え」と言われ、現場のモチベーションが下がる
- 結局、誰も使わず、契約だけが残る
定着するツールの共通点は、現場の困りごとから逆算していることです。
- 「メール対応が1日2時間かかっているから、短縮したい」
- 「Excelの転記ミスで月5件の手戻りが発生しているから、無くしたい」
- 「在庫確認の問い合わせが1日10件あるから、自動化したい」
tugiloでは、「ツールを入れたい」ではなく、**「今、誰が何に一番困っているか」**を聞くところから始めます。
定着した現場でやっていること
tugiloが見てきた中で、ツール導入に成功している現場には共通点があります。
- 目的が数字で語れる:「メール対応時間を2時間→30分に」
- 最初の1業務だけに絞る:全社展開ではなく、1チーム・1業務
- 1枚のチートシート:A4で完結する操作手順
- 判断基準が明文化:いつ、何を入力するか
- 2週間で評価:効果が出ているかを短期で確認
- 最初の目的:「配送完了報告の入力時間を15分→3分に短縮」
- 対象業務:配送完了報告(1日20件)
- 導入範囲:ドライバー5名のみ(最初は一部だけ)
- チートシート:「配送先・時刻・署名」の3項目だけを入力する手順
- 評価:2週間で平均入力時間が13分→4分に短縮
- 横展開:成功を確認後、全ドライバー20名に展開
この会社は、3ヶ月後に「配送予定の共有」にも展開し、現在は事務作業が月40時間削減されています。
小さく始める重要性
ツール導入で失敗する会社の多くは、最初から全社展開を目指すことです。
- 「全員が使わないと意味がない」と考え、初日から全社展開
- 結果、トラブルが同時多発し、サポートが追いつかない
- 現場が混乱し、「やっぱり前のやり方がいい」という空気になる
- 誰も使わなくなり、ツールが放置される
tugiloでは、小さく始めて、成功を確認してから広げることを推奨します。
- 最初の1業務を決める(メール/報告/在庫確認など)
- 1チーム(3〜5名)で試す(全社展開はしない)
- 2週間で効果測定(時間/手戻り/対応件数を数字で確認)
- 成功したら横展開(他チーム・他業務に広げる)
小さく始めれば、失敗してもリカバリーできます。
tugiloが"全部作らない"理由
tugiloがシステム開発で大事にしているのは、**「全部作らない」**ことです。
- 最初から完璧を目指さない
- まず「最小限の機能」で動かしてみる
- 現場で使ってもらい、フィードバックをもらう
- 2週間ごとに改善を重ねる
「全部作ってから出す」ではなく、**「最小限で出して、育てる」**のがtugiloのやり方です。
- 開発期間が短い(2週間〜1ヶ月で動く)
- 初期コストが低い(必要な機能だけに絞る)
- 現場の声を反映しやすい(作り直しが少ない)
- 失敗してもリカバリーできる(全社展開していないから)
tugiloでは、「ツールを入れて終わり」ではなく、運用で回る仕組みを一緒に作ります。
ツール導入の前に、「今、誰が何に一番困っているか」を一緒に整理します。
まとめ:定着は"導入前"に決まる
業務効率化ツールの定着は、ツール選定ではなく、導入前の整理と、運用設計で決まります。
1業務
最初に試すべき範囲
1チーム
最初に導入する人数(3〜5名)
2週間
効果測定のサイクル
「ツールを入れたい」ではなく、「今、誰が何に一番困っているか」を聞くところから始めましょう。
tugilo視点まとめ
- 定着しない理由は「現場の抵抗」ではなく「運用設計の不足」
- 成功する現場は「1業務・1チームから始める」
- tugiloでは、「全部作らない」で、運用で育てることを大事にします
- 迷った場合は、ここで一度立ち止まります