- 今の単価で来年の件数を約束しそうな人
- 安くなった週に、実験を本番へ伸ばしたくなる経営者
- 金曜の見積に、期限付きの価格だけを残している現場
金曜の夕方、単価は安く見えます。安く見える数字で、来月の件数を書きたくなります。書いてしまうと、1月に単価が変わったとき、件数だけが残ります。残った件数は、約束に見えます。約束に見える件数は、減らせません。
先に残すのは、今の安さではありません。期限の先の単価で、続けられる件数です。
公式が切っている期限は、2026年12月31日である
Googleは2026年8月13日、Gemini 3.7 Flash の導入価格を発表しました(Introducing Gemini 3.7 Flash)。公式の脚注は、次のとおりです。
- 2026年12月31日まで、$0.75 / 1M input、$3.75 / 1M output
- 2027年1月1日から、$1.50 / 1M input、$7.50 / 1M output
これは API のトークン単価 です。Gemini アプリや Spark の月額料金ではありません。開発や社内接続で 3.7 Flash を呼ぶときの数字です。アプリの半額セールと混ぜると、見積の相手が違います。
今の単価は、1月以降の半分です。半分は、実験には使いやすい。使いやすい数字を、本番の見積の唯一の行にすると、1月に説明が始まります。説明は、値上げへの不満になります。不満の本体は、期限を見積に書いていなかったことです。
席を増やす前に、残った判断を見る話もあります(席を増やす前に振り返るのは、誰がよく使ったかではなく「残った判断」)。あちらは席の種類です。今回は、期間付きの API 単価です。どちらも、今見えている数字を、来月の理由にしてはいけない、という点は同じです。
実験枠と本番枠を分ける話とも重なります(AI予算を増やす前に、実験枠と本番枠の境界を一行で分ける)。導入価格は、実験枠の数字です。実験枠の数字を、本番の年間件数に掛けない。掛けた見積は、安く見えます。安く見える見積は、社内決裁が通りやすい。通ったあとで、単価が戻ります。
金曜に書く一行
見積の先頭に、この一行を置きます。
2027年1月1日以降の API 単価で、続けられる件数はいくつか。
今の単価も書いてよい。書くなら、期限を隣に置く。「2026年12月31日まで」と「2027年1月1日から」。二つ無い見積は、安いほうだけを読まれます。読まれた安いほうで、社内の人員計画が動きます。動いた計画は、1月に止まりません。止まれない計画は、値上げのせいではありません。金曜に、期限を書かなかったせいです。
外へ出す数字でも同じです。API 利用を前提にした社内予算や、開発見積で「今は半額です」だけを渡すと、相手は半額のまま枠を取ります。相手の枠は、こちらの都合では直せません。直らない枠を、1月に説明することになります。説明の時間は、営業の仕事に見えます。中身は、期限の抜けです。
問い合わせの件数より先に、流入の一行を見る話もあります(問い合わせが減った週に、件数より先に見る一行)。見積も、件数より先に、単価の期限を見ます。件数は、期限のあとに置けます。
安さは、範囲を広げない
安くなった週は、夜間更新も、全社展開も、同時にやりたくなります。安さは、範囲の許可ではありません。範囲は、朝説明できる仕事だけです。説明できる仕事の件数を、1月の API 単価で先に置きます。置いた件数が、今の安さで余るなら、余りは実験です。実験は、本番の見積に足しません。
金曜に残すのは、便利さの感想ではありません。来年1月の単価で見た件数、一行です。その一行があれば、導入価格の話は短く終わります。無いと、安さの話が、来年の最初の仕事になります。
期限付きの API 単価を、見積の前提に落とします。tugiloは、今の安さより先に、続けられる件数から設計します。