この記事はどんな人向けか
  • 自社サイトからの問い合わせが、理由なく減ってきた経営者
  • アクセス数と問い合わせ数だけを月次で見ている人
  • 「広告を増やすべきか」を今まさに迷っている人

サイトは変えていない。内容も足している。それなのに、問い合わせだけが静かに減っている。

こういう週があります。原因が自社の中に見当たらないので、会議では「たまたま」で片付くか、「広告を増やすか」に飛びます。

その前に、確かめておくと違うことがあります。

AI検索が増えて、検索の終わり方が変わってきている

博報堂DYグループのHakuhodo DY ONE(次世代検索研究所piONEer)が2026年3月2日に公表した「AI検索白書2026」(2025年11月調査)によれば、AI検索の利用率はビジネスシーンで29.9%。前回調査(2025年3月)の9.4%から、約8か月で3倍を超えました。

同白書によれば、AI検索を使った人のうち、サイトを訪れずに終わる「ゼロクリック」は23.9%。生成AIの回答だけで解決した人が13.7%、そこから追加質問をした人が10.2%という内訳です。

つまり、あなたの会社の情報が読まれていないとは限りません。 読まれた上で、サイトには来ていない可能性があります。

この二つは、まったく違う状態です。前者なら、知られるための手を打つ。後者なら、知られた後の一歩を作る。打ち手が逆になります。

なのに、問い合わせ件数だけを見ていると、この二つが同じ「減った」に見えます。

件数は、三つの原因を混ぜてしまう

問い合わせが10件から6件に減ったとします。この4件は、どこで消えたのか。

  • 存在を知られなかった(届いていない)
  • 知られたが、興味を持たれなかった(刺さっていない)
  • 興味は持たれたが、その場で疑問が解けて終わった(来る理由が消えた

三つ目が、この数年で増えている経路です。以前なら「詳しく聞いてみよう」となっていた人が、AIの回答で足りてしまう。悪意も競合もありません。

そして三つ目が増えているとき、広告を増やしても効きません。届いてはいるからです。効くのは、答えを知った人が次に一歩踏むための理由を用意することです。

なお、ここで扱っているのは受注につながる引き合いのほうです。サポートの問い合わせは減ってよく、その設計は問い合わせを半分にしたあと、次に何を設計するかに書きました。同じ「問い合わせ」でも、減ってよいものと調べるべきものがあります。

金曜に残す一行

必要なのは、大がかりな分析基盤ではありません。金曜に一行だけ残します。

今週来た問い合わせに、「何を見て、何を知ったうえで来たか」を書く。

8/14 製造業のA社。AIに聞いて「基幹連携は要件次第」までは分かった状態。判断できないので相談したい、とのこと。

この一行を8週分ためると、傾向が見えます。

  • すでに調べ終えて来る人が増えている → 情報を増やすより、判断材料を出す側に回る
  • 何も知らずに来る人が多い → 届き方の問題。露出を見直す
  • 同じ疑問で来る人が多い → その疑問は、先に答えを出しておく価値がある

件数を数えるより、こちらのほうが手が早く決まります。件数は結果であって、原因を教えてくれないからです。

数字を一つ増やすときに何を見るかは、数字を増やす前に、今日見る数字を一つだけ決めるにも書きました。今回足すのは、数ではなく経路の一行です。

「調べ終えて来る人」に、何を出すか

すでに調べ終えて来る人が増えているなら、サイトに足すべきものが変わります。

どこのサイトにも書いてある説明を厚くしても、その部分はAIが先に答えています。読まれるのは、AIが答えられないところです。

  • 自社なら、どういう条件のときに断るか
  • 見積の前に、何を決めておく必要があるか
  • 失敗した事例と、そのとき何を見落としていたか
  • 「よくある質問」ではなく、「聞かれたら困る質問」への答え

どれも、一般論では書けません。誰かの現場を通していないと出てこない内容です。だからこそ、答えを知った人が「この会社に聞いてみるか」と思う理由になります。

情報を増やすことと、判断材料を出すことは違います。検索のための量ではなく、決めるための材料。求められているのは、判断材料のほうへ移っています。

順位が取れても引き合いの質が変わらない話は順位は取れた。でも、その人はお客さんですか?に書きました。あちらは来た人の質、こちらは来なくなった人の理由です。

聞き方は、一言でいい

あとは、相手に一言聞くだけです。ここだけが、少し勇気の要るところだと思います。

初回のやり取りに、こう添えます。

差し支えなければ、どのあたりまでお調べになった上でのご相談か、教えていただけますか。

相手も答えやすい質問です。そして、この一言があるかどうかで、次の提案の精度が変わります。相手がどこまで分かっているかを知らないまま提案すると、既に知っていることを説明して時間を使うことになります。

問い合わせが減ったとき、減ったことを数えても、減った理由は出てきません。 来た人が何を知って来たかを一行書く。それが、一番安く手に入る材料です。

件数を追う前に、来る理由を設計する——tugiloは、ツールの前に「判断の設計」から入ります。問い合わせ導線の見直しも、判断材料としての情報発信も、お気軽にご相談ください。