実践

カスタマーサポートのチャットボット運用をAIで強化:問い合わせ対応から学習まで

カスタマーサポート担当の方が毎日運用する「チャットボット」。問い合わせ対応から学習まで、AIを活用して効率化する方法を、tugiloが現場で実践している型で解説します。

カスタマーサポートのチャットボット運用をAIで強化:問い合わせ対応から学習まで

ボットの回答が的を外れて顧客が怒った、という話を相談で聞きました。チャットボットは「答えていい範囲」を決めないと、AIが調子に乗って痛い答えを返します。

カスタマーサポート担当の方が毎日運用する「チャットボット」は、回答範囲とエスカレーションを決めてから初めて、運用が回ります。tugiloが現場で回している型を解説します。

tugiloが最初に聞く「チャットボット運用の5つの質問」
  • 誰が: チャットボットを運用しているか(サポート担当者・マーケティング担当者)
  • いつ: どのタイミングでチャットボットを更新するか(問い合わせ時/週次/都度)
  • 何を: チャットボットに含める情報は何か(FAQ/回答/エスカレーション)
  • 判断はどこ: 人の判断が必要なポイントはどこか(回答内容の最終確認/エスカレーション判断)
  • どこが痛い: 時間・品質・遅延・機会損失のどれが一番大きいか

チャットボット運用の「入力→処理→出力」を分解する

tugiloが現場で使う分解方法です。まず業務を3つに分けます。

1
手順

Step 1:入力の整理

  • 問い合わせ内容(質問、状況、顧客の情報)
  • 過去の問い合わせ履歴(同様の質問、回答例)
  • FAQデータ(質問、回答、関連情報)

例外: 緊急案件、技術的な質問、クレーム対応

Step 2:処理(チャットボットの更新・学習)

  • 問い合わせの分類(カテゴリ、優先度)
  • 回答の作成(FAQ、マニュアル、過去の対応例)
  • チャットボットの学習(新しい質問、回答の改善)

例外: 回答が不明確、チャットボットの更新が必要、特殊な要件

Step 3:出力(チャットボットの運用・効果測定)

  • チャットボットへの反映(新しい質問、回答の追加)
  • 問い合わせ対応での活用(自動回答、エスカレーション)
  • チャットボットの効果測定(解決率、満足度)

例外: 反映エラー、チャットボットの効果が低い、更新が必要

そのまま使える:チャットボット運用プロンプトテンプレ

tugiloが実際に使っているプロンプトです。問い合わせ内容を入力して、チャットボットの回答を作成します。

以下の問い合わせを基に、チャットボットの回答を作成してください。

【問い合わせ内容】
- 質問: [質問内容]
- 状況: [顧客の状況]
- 商品/サービス: [商品名/サービス名]

【過去の問い合わせ履歴】
- 同様の質問: [過去の質問例]
- 回答例: [過去の回答例]

【FAQデータ】
- 関連FAQ: [関連するFAQ、3-5個]
- 回答例: [回答例、3-5個]

【出力形式】
チャットボットの回答を以下の形式で出力してください。

1. 問い合わせの分類
   - カテゴリ: [商品/サービス、不具合、その他]
   - 優先度: [高/中/低]

2. チャットボットの回答
   - 回答: [回答内容、簡潔に3-5行]
   - 関連情報: [関連するFAQ、マニュアル、該当する場合]
   - エスカレーション: [エスカレーション要/不要、理由]

3. チャットボットの学習
   - 新しい質問: [新しい質問として追加する内容、該当する場合]
   - 回答の改善: [回答の改善案、該当する場合]

【注意事項】
- 回答は簡潔で分かりやすく
- 関連情報を必ず含める
- 緊急案件の場合は、エスカレーションを推奨
- 技術的な質問の場合は、エスカレーションを推奨
実践例:複数問い合わせからのチャットボット一括更新
```
以下の問い合わせリストから、チャットボットの回答を作成してください。

【問い合わせリスト】
1. 問い合わせ1: [質問内容、状況]
2. 問い合わせ2: [質問内容、状況]
3. 問い合わせ3: [質問内容、状況]

【出力形式】
- 各問い合わせの分類(カテゴリ、優先度)
- 各問い合わせのチャットボット回答(回答、関連情報、エスカレーション)
- チャットボットの学習(新しい質問、回答の改善)
- 全体のサマリー(チャットボットの傾向、改善点、次のステップ)
```

運用の型:3段階の確認ルール

AIで作成したチャットボットの回答は、必ず3段階で確認します。これで「ミスを見逃す」リスクを最小化します。

第1段階:自動チェック

  • 質問が空欄でないか
  • 回答が空欄でないか
  • カテゴリが適切か

所要時間: 自動(0分)

第2段階:AI判定

  • 回答の妥当性(FAQ、マニュアルとの整合性)
  • 回答の完成度(必要な情報が含まれているか)
  • エスカレーションの必要性(技術的な質問、クレーム対応)

所要時間: 3分/件

第3段階:人間の最終確認

  • 緊急案件やクレーム対応
  • 技術的な質問への回答
  • 特殊な要件への対応

所要時間: 5分/件(全体の20%程度)

実践的なチャットボット学習方法

tugiloが実際に使っているチャットボット学習方法です。

1
手順

1. 問い合わせの収集(毎日)

  • チャットボットでの問い合わせを収集
  • 回答できなかった質問を特定
  • 回答の質が低い質問を特定

2. チャットボットの更新(週次)

  • 新しい質問をチャットボットに追加
  • 回答の改善を実施
  • エスカレーションルールの見直し

3. チャットボットの学習(月次)

  • 問い合わせの傾向を分析
  • 回答の効果を測定
  • 改善が必要な回答を特定

4. 効果測定(月次)

  • チャットボットの解決率を測定
  • 顧客満足度を測定
  • 改善点を特定

チャットボットのエスカレーションルール:ベストプラクティス

tugiloが実際に使っているエスカレーションルールです。

エスカレーション要

技術的な質問: トラブルシューティング、エラー対応

クレーム対応: 顧客の不満、返金対応

緊急案件: システム障害、セキュリティ問題

複雑な質問: 複数の質問が混在、判断が困難

エスカレーション不要

一般的な質問: FAQで回答可能

簡単な質問: マニュアルで回答可能

定型的な質問: 過去の対応例で回答可能

KPI:時間と効果を測る

tugiloが現場で測っている指標です。

チャットボット回答作成時間: 20分 → 5分(75%削減

チャットボットの解決率: 50% → 80%(60%向上

顧客満足度: 70% → 90%(29%向上

問い合わせ対応時間: 平均10分 → 平均3分(70%削減

失敗を避ける:3つのチェックポイント

失敗パターン1:チャットボットの学習を怠る

症状: チャットボットを運用したが、新しい質問に対応できず解決率が低い

対策: 「チャットボットの学習を定期的に行う」とルール化する。週次で新しい質問を追加し、回答を改善する。

失敗パターン2:エスカレーションルールが曖昧

症状: チャットボットが適切でない質問にも回答してしまい、顧客満足度が低下

対策: 「エスカレーションルールを明確にする」とルール化する。技術的な質問、クレーム対応は必ずエスカレーションする。

失敗パターン3:回答の質を軽視

症状: AIで作成した回答が抽象的で、顧客に響かない

対策: 「回答の質を定期的に確認する」とルール化する。解決率、顧客満足度を測定し、改善が必要な回答を特定する。

実践的なチャットボット運用フロー

tugiloが実際に使っているチャットボット運用フローです。

1
手順

1. 問い合わせの対応(毎日)

  • チャットボットで問い合わせに対応
  • 自動回答できない場合はエスカレーション
  • 人間が対応した場合は、回答を記録

2. チャットボットの更新(週次)

  • 新しい質問をチャットボットに追加
  • 回答の改善を実施
  • エスカレーションルールの見直し

3. チャットボットの学習(月次)

  • 問い合わせの傾向を分析
  • 回答の効果を測定
  • 改善が必要な回答を特定

4. 効果測定(月次)

  • チャットボットの解決率を測定
  • 顧客満足度を測定
  • 改善点を特定して次月に反映

関連記事

まとめ

チャットボット運用をAIで効率化するポイントは3つです。

  1. チャットボットの学習を定期的に行う: 週次で新しい質問を追加し、回答を改善
  2. エスカレーションルールを明確にする: 技術的な質問、クレーム対応は必ずエスカレーション
  3. KPIで測る: 時間だけでなく、チャットボットの解決率も見る

「AIツールを入れる」だけでなく、運用の型を設計することが成功の鍵です。

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次廣淳のプロフィール写真

次廣 淳(つぎひろ あつし)

執筆者

tugilo(ツギロ)
中小企業向けに、業務改善・システム開発・AI活用支援を行っています。

これまで、予約管理システム・業務支援ツール・社内向け管理システムなど、実務で使われるWebシステムの設計・開発・運用を担当してきました。

AI活用については、「導入して終わり」ではなく業務に定着するか/事故が起きないかを重視して設計しています。

この記事では、実際の案件や検証を通じて得られた判断基準・失敗しやすいポイントを中心に解説しています。

※ 本記事は、実務での検証や判断経験をもとに整理した内容であり、特定のAIツールやサービスの利用を推奨・勧誘するものではありません。

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