実践

AIに渡す前の「社内ナレッジ整理」入門:ファイル地獄を終わらせる命名・版管理・要約ルール(tugilo流)

AI導入が効かない原因が社内情報の混沌にあるケースは多い。命名・版管理・原本の置き場・要約テンプレの3レイヤーで、1日で“回る形”に寄せる整理術を解説します。

AIに渡す前の「社内ナレッジ整理」入門:ファイル地獄を終わらせる命名・版管理・要約ルール(tugilo流)

この記事はどんな人向けか
  • AIに渡す材料(資料・ナレッジ)が散っていて困っている担当者
  • 「フォルダが深い・ファイル名が雑・最新版が分からない」と感じている人
  • 1日で回る形に寄せたい現場責任者

結論から言うと、AIの前に「最新版はどれか・置き場所は1つ・更新する人は誰か」を決めると、情報が回り始めます。 以下では、tugiloが現場で使っている命名・版管理・要約の3レイヤーをまとめます。

AIを導入しても、なぜか現場が楽にならない。
その原因が、ツールでも、プロンプトでもなく――社内の情報そのもの だった。
これ、めちゃくちゃ多いです。

フォルダが深い。ファイル名が雑。最新版が分からない。
「最終_修正版_最終2.xlsx」が存在する。
探すだけで疲れて、結局、知ってる人に聞く。属人化が固定される。

そしてAIに聞くと、もっとそれっぽい答えを返してくる。
でも元データが混沌としているから、出力も混沌とする。

この記事は、社内ナレッジを“完璧に整える”話ではありません。
1日で「回る状態」に寄せるための、現場向けの整理術です。

tugilo視点まとめ
  • 最初に決めるのは「最新版はどれか・置き場所は1つ・更新する人は誰か」。 正しさより先に版を揃える。
  • 3レイヤーで分ける。 ルール(命名・版管理)→原本(材料)→要約(読む人を楽にする)。全部同じ粒度で管理しない。
  • tugiloは「更新責任者」と「更新頻度」を最初に決める。 完璧じゃなくていい。週1でもいい。腐らせない仕組みが勝つ。

関連記事:

AI導入のボトルネックは「情報の場所」がバラバラなこと

AIに何かをやらせるには、材料が必要です。
材料が散っていると、結局こうなります。

  • AIに渡すための資料を探す(まずここで時間が溶ける)
  • 見つかった資料が古い(間違える)
  • “どれが正か”で揉める(決められない)

つまり、AIの性能の前に、情報の置き場所が勝負です。

まず決めるのは「正しさ」ではなく「最新版」

ナレッジ整理で一番の敵は、完璧主義です。
完璧を目指すと、始まらない。

tugiloが最初に決めるのは、これだけです。

最初に決めること(これだけで回り始める)
  • 最新版はどれか(正しさより先に“版”を揃える)
  • 置き場所は1つ(リンクで散らしても、原本は1箇所)
  • 更新する人は誰か(責任者がいないナレッジは腐る)

tugilo流「ナレッジ整理の3レイヤー」— 1日で形にする

社内情報は、3レイヤーに分けると回ります。
全部を同じ粒度で管理しない。

レイヤー1:ルール(変わりにくい)

命名、版管理、置き場所、更新責任者。
“運用の約束”。

レイヤー2:原本(変わる)

見積前提、仕様、テンプレ、FAQ。
“現場で使う材料”。

レイヤー3:要約(使うため)

1枚の要点、チェックリスト、判断軸。
“読む人を楽にする”。

レイヤー1:命名ルール(ファイル名で8割決まる)

命名で大事なのはオシャレさではなく、検索性です。
日付と用途と版が分かればOK。

命名テンプレ(おすすめ)
{業務}-{用途}-{対象}-{YYYYMMDD}-v{番号}

例:
estimate-conditions-A社-20260129-v3.md
faq-customer-support-共通-20260129-v1.md
proposal-outline-製造業-20260129-v2.md

禁止ワード(現場が壊れるやつ):

  • 最終、最新版、修正版、new、new2

これ、気持ちは分かるんです。
でも後から見た人が死にます。

レイヤー1:版管理ルール(vと更新者だけでいい)

Gitみたいな厳格運用が無理でも、最低限これだけで回ります。

1
最小の版管理
  1. v番号を必ず付ける(v1, v2, v3…)
  2. 更新したら「更新メモ」を1行残す
  3. 最終判断者(承認者)を明記する

レイヤー2:原本の置き場所(原本は1箇所)

Slackに貼る、Notionに貼る、メールで送る。
散らすのはいい。でも原本は1つ。

原本が増えると起きる事故
  • A部署の資料とB部署の資料で数字が違う
  • 先に進んだ後で「それ古いよ」が発生する
  • 結局、知ってる人に聞く(属人化)

レイヤー3:要約(AIに作らせて、人が確定する)

要約はAIが得意です。
ただし、要約が間違っていたら意味がない。
だから「AIで下書き→人が確定」の順が安全です。

要約テンプレ(社内共有1枚)
【目的】(何のための資料か)
【結論】(何が決まっているか)
【前提】(変えると崩れる条件)
【やっていい】(OK範囲)
【やってはいけない】(NG範囲)
【要確認】(不明点)
【最終確認者】(役割/氏名)

よくある失敗:整理が「一回きりの掃除」で終わる

ナレッジ整理が失敗するのは、たいていこれです。

続かないパターン
  • 整理担当が固定されていない(誰も更新しない)
  • 置き場所が増える(原本が増殖する)
  • 要約が更新されない(読む人が信じなくなる)

だから、最初に「更新責任者」と「更新頻度」を決めます。
完璧じゃなくていい。週1でもいい。
“腐らせない仕組み”が勝ちます。

まとめ:AI時代の強さは「情報が整っている会社」に宿る

AIは万能ではありません。
でも、情報が整っている会社では“万能に見える”くらい効きます。

逆に、情報が散っている会社では、AIはただの賢いノイズになります。
まずは、命名・版・原本の場所・要約。
ここを整えるだけで、現場のスピードは変わります。

社内ナレッジ整理(命名・版管理・要約ルール)を、業務に合わせて1日で“回る形”に落とし込む支援ができます。散らかったままAI導入を進めたくない方はご相談ください。

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次廣淳のプロフィール写真

次廣 淳(つぎひろ あつし)

執筆者

tugilo(ツギロ)
中小企業向けに、業務改善・システム開発・AI活用支援を行っています。

これまで、予約管理システム・業務支援ツール・社内向け管理システムなど、実務で使われるWebシステムの設計・開発・運用を担当してきました。

AI活用については、「導入して終わり」ではなく業務に定着するか/事故が起きないかを重視して設計しています。

この記事では、実際の案件や検証を通じて得られた判断基準・失敗しやすいポイントを中心に解説しています。

※ 本記事は、実務での検証や判断経験をもとに整理した内容であり、特定のAIツールやサービスの利用を推奨・勧誘するものではありません。

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