実践

カスタマーサポートの問い合わせ対応をAIで3倍速にする運用設計

カスタマーサポート担当の方が毎日対応する「問い合わせ対応」。対応時間を3倍速にする運用設計を、tugiloが現場で実践している型で解説します。

カスタマーサポートの問い合わせ対応をAIで3倍速にする運用設計

AIに任せたらトーンが合わず書き直した、という話は相談でよく出ます。問い合わせ対応は「誰の口で返すか」が大事なので、型を決めないとAIの文章はそのまま使えません。

カスタマーサポート担当の方が毎日対応する「問い合わせ」は、返信の型と例外を決めてから初めて、短縮に近づきます。tugiloが現場で使っている型をまとめます。

tugiloが最初に聞く「問い合わせ対応の5つの質問」
  • 誰が: 問い合わせに対応しているか(サポート担当者・部門担当者)
  • いつ: どのタイミングで発生するか(問い合わせ時/都度)
  • 何を: 問い合わせに含まれる情報は何か(商品/サービス/不具合/その他)
  • 判断はどこ: 人の判断が必要なポイントはどこか(技術的な質問/クレーム対応)
  • どこが痛い: 時間・品質・遅延・機会損失のどれが一番大きいか

問い合わせ対応の「入力→処理→出力」を分解する

tugiloが現場で使う分解方法です。まず業務を3つに分けます。

1
手順

Step 1:入力の整理

  • 問い合わせ内容(商品/サービス、不具合、その他)
  • 顧客情報(氏名、連絡先、購入履歴)
  • 過去の問い合わせ履歴(同様の問い合わせ、解決方法)

例外: 緊急案件、技術的な質問、クレーム対応

Step 2:処理(問い合わせの対応)

  • 問い合わせの分類(商品/サービス、不具合、その他)
  • 回答の作成(FAQ、マニュアル、過去の対応例)
  • エスカレーションの判断(技術的な質問、クレーム対応)

例外: 回答が不明確、エスカレーションが必要、特殊な要件

Step 3:出力(問い合わせの完了)

  • 回答の送付(メール/チャット)
  • 問い合わせ管理システムへの登録
  • フォローアップの設定(必要に応じて)

例外: システムエラー、連絡先不明、追加の対応が必要

そのまま使える:問い合わせ対応プロンプトテンプレ

tugiloが実際に使っているプロンプトです。問い合わせ内容を入力して、回答の下書きを作成します。

以下の問い合わせに対応してください。

【問い合わせ内容】
- 商品/サービス: [商品名/サービス名]
- 問い合わせ内容: [内容]
- 顧客の状況: [状況]

【顧客情報】
- 氏名: [氏名]
- 連絡先: [メールアドレス/電話番号]
- 購入履歴: [購入履歴]

【過去の問い合わせ履歴】
- 同様の問い合わせ: [過去の対応例]
- 解決方法: [解決方法]

【出力形式】
問い合わせへの回答を以下の形式で出力してください。

1. 問い合わせの分類
   - カテゴリ: [商品/サービス、不具合、その他]
   - 優先度: [高/中/低]

2. 回答の下書き
   - 挨拶文
   - 問い合わせへの回答
   - 追加の情報提供
   - 次のステップの提案

3. エスカレーションの判断
   - 技術的な質問: [エスカレーション要/不要]
   - クレーム対応: [エスカレーション要/不要]

【注意事項】
- 緊急案件の場合は、優先的に対応する
- 技術的な質問の場合は、エスカレーションを検討する
- クレーム対応の場合は、丁寧な対応を心がける
実践例:FAQからの回答作成
```
以下のFAQを基に、問い合わせへの回答を作成してください。

【問い合わせ内容】
「商品Aの使い方がわかりません」

【FAQ】
- Q: 商品Aの使い方は?
- A: 商品Aは、以下の手順で使用できます。1. 電源を入れる 2. 設定を行う 3. 使用開始

【顧客情報】
- 氏名: [氏名]
- 連絡先: [メールアドレス]
- 購入履歴: 商品Aを1週間前に購入

【出力形式】
- 挨拶文
- FAQを基にした回答
- 追加のサポート情報
- 次のステップの提案
```

運用の型:3段階の確認ルール

AIで作成した回答は、必ず3段階で確認します。これで「ミスを見逃す」リスクを最小化します。

第1段階:自動チェック

  • 問い合わせ内容が空欄でないか
  • 顧客情報が正しい形式か
  • 回答が空欄でないか

所要時間: 自動(0分)

第2段階:AI判定

  • 回答の妥当性(FAQ、マニュアルとの整合性)
  • エスカレーションの必要性(技術的な質問、クレーム対応)
  • 回答の完成度(必要な情報が含まれているか)

所要時間: 2分/件

第3段階:人間の最終確認

  • 緊急案件やクレーム対応
  • 技術的な質問への回答
  • 特殊な要件への対応

所要時間: 5分/件(全体の20%程度)

KPI:時間と手戻りを測る

tugiloが現場で測っている指標です。

対応時間: 15分 → 5分(67%削減

手戻り率: 25% → 8%(68%削減

初回回答完了率: 60% → 90%(30ポイント向上

顧客満足度: 75% → 90%(15ポイント向上

失敗を避ける:3つのチェックポイント

失敗パターン1:FAQの整備を後回しにする

症状: AIで回答を作成したが、FAQが整備されていなくて回答の質が低い

対策: 最初に「FAQを整備する」ことが重要。AIはFAQを基に回答を作成する。

失敗パターン2:エスカレーションの判断をAIに任せすぎる

症状: AIが判断したエスカレーションが適切でない

対策: 「エスカレーションの判断は人間が行う」とルール化する。AIは「判断材料の提示」として扱う。

失敗パターン3:顧客情報の確認を怠る

症状: 顧客情報が間違っていて、後で修正作業が発生

対策: 「顧客情報は必ず人間が確認する」とルール化する。AIは「下書き」として扱う。

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まとめ

問い合わせ対応をAIで効率化するポイントは3つです。

  1. FAQを先に整備する: AIはFAQを基に回答を作成する
  2. エスカレーションの判断は人間が行う: AIは判断材料の提示として扱う
  3. KPIで測る: 時間だけでなく、顧客満足度も見る

「AIツールを入れる」だけでなく、運用の型を設計することが成功の鍵です。

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次廣淳のプロフィール写真

次廣 淳(つぎひろ あつし)

執筆者

tugilo(ツギロ)
中小企業向けに、業務改善・システム開発・AI活用支援を行っています。

これまで、予約管理システム・業務支援ツール・社内向け管理システムなど、実務で使われるWebシステムの設計・開発・運用を担当してきました。

AI活用については、「導入して終わり」ではなく業務に定着するか/事故が起きないかを重視して設計しています。

この記事では、実際の案件や検証を通じて得られた判断基準・失敗しやすいポイントを中心に解説しています。

※ 本記事は、実務での検証や判断経験をもとに整理した内容であり、特定のAIツールやサービスの利用を推奨・勧誘するものではありません。

AI駆動開発 業務効率化 中小企業支援

この記事が役立つ人

  • 問い合わせ対応に時間がかかっているサポート担当者
  • 問い合わせ対応を効率化したいカスタマーサポートマネージャー
  • 顧客満足度を向上させたい経営者
  • AIを顧客対応に活用したい方

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