- 見積や社内文書に「ChatGPTで作成」とだけ書いている人
- 同じ製品名なら同じ結果だと思っている現場責任者
- 顧客に「うちは最新を使っています」と説明している営業
火曜の朝、画面の名前は先週と同じです。ChatGPT。GPT-5.6。Sol。Luna。名前が同じだと、中身も同じだと思いたくなります。
同じだと思ったまま、見積の前提を書きます。社内の手順にも「ChatGPTで確認」とだけ残します。残したあと、再現できません。再現できない理由は、性能が落ちたからではありません。名前が同じまま、版と画面が分かれたからです。
2026年8月、同じ名前の下に月が二つある
OpenAIは2026年8月6日、ChatGPT側の更新を発表しました(Improving GPT-5.6 Sol in ChatGPT)。公式リリースノートの範囲は、次のとおりです(ChatGPT Release Notes)。
- Plus / Pro は、更新された GPT-5.6 Sol と、応答の深さを選ぶスライダー
- Free / Go は、GPT-5.6 Luna が既定になる
- この更新は ChatGPT のチャット体験に適用する
- Work と Codex は、このリリースでは変わらない
安全カードは、月で分けて書いています(GPT-5.6 — August Updates)。ChatGPT のチャットに入った版を August。Codex と ChatGPT Work に残っている版を July。名前は同じです。月が違います。Codex 側も Work 側も、July の Sol と Luna が残ると書いてあります。どちらがどちらかまで、公式は固定していません。 固定していないものを、見積に「Codex は Luna」と書いてはいけません。
設定を触らないことが選択になる、という話は別記事にあります(自動実行が既定になったとき、設定を触らないことは何を選んだことになるか)。あちらは 8月14日の既定変更です。今回は 8月6日の版の分かれです。日付も層も違います。既定を固定しても、画面が違えば中身は違います。
「ChatGPTで作った」は、再現手順にならない
現場で残る一文は、だいたいこれです。「ChatGPTで作った」。短いので、共有しやすい。共有しやすい一文は、後から検証できません。
検証できないと、次が起きます。
- 同じ質問なのに、チャットと Work で答えが違う
- 先月の見積と、今月の見積で前提が食い違う
- 顧客が「最新ですよね」と聞いたとき、最新の定義が言えない
モデルが三つに分かれた週に、先に決めるのは性能比較ではない、という話はすでにあります(モデルが三つに分かれた週に、先に決めるのは性能比較ではない)。今回足すのは、階層ではなく月と画面です。Free と Plus の差だけではありません。同じ Plus の契約でも、チャットは August、Work は July、ということが公式の範囲で起きます。
正しさの前に前提を見る、という話とも重なります(AIの答えを見るとき、正しさより先に「前提」を見る)。前提の一つが、今は「何月の、どの画面か」です。前提が無い正しさは、その場の印象です。印象は、翌週の再現に使えません。
「ChatGPTで確認」を、画面と月に分解する
社内手順に残りやすい言葉が、もう一つあります。「ChatGPTで確認」。確認したつもりでも、次が抜けます。
- 誰のアカウントか
- チャットか、Work か、Codex か
- その画面で、公式が残している月はどれか
三つが空欄だと、確認は個人の記憶です。記憶は、金曜の振り返りで割れます。割れた確認を、来週の前提にはできません。
見積も同じです。金額の前に、使った画面を一行置く。置けない見積は、数字だけが一人歩きします。数字が一人歩きすると、顧客は「同じChatGPTなのに前回と違う」と言います。違う理由を、性能の話で受けてはいけません。画面と月の話で受けます。
顧客向けの文も、同じ分解で足ります。「最新のChatGPT」は、相手の画面によって指すものが違います。相手が Free なら、チャットの既定は Luna です。自社が Work を使っているなら、その画面はこのリリースでは変わっていません。違うものを、同じ商品名で渡すと、後で説明が長くなります。長い説明は、営業の仕事に見えます。中身は、版の取り違えです。
見積と社内説明に残す一行
先に書く一行は、性能表ではありません。
どの画面の、何月の版か。
例は、公式が言っている範囲だけにします。
- ChatGPT チャット / Plus・Pro の GPT-5.6 Sol / 2026年8月
- ChatGPT Work / このリリースでは未更新(公式は July の版)
- Codex / このリリースでは未更新(公式は July の Sol または Luna)
三つを全部書く必要はありません。使った一つを書く。書いていない仕事は、「同じ名前」で混ぜない。混ぜると、金曜の振り返りで「どれが正だったか」が残りません。分からないところは、推測で埋めない。公式が固定していない対応は、「未確認」と残します。未確認のまま進めるより、未確認と書いたほうが、翌週直せます。
火曜の見積で、二人が同じ名前を使っているとき
よくある火曜です。担当がチャットで下書きする。別の人が Work で数字を確認する。二人とも「ChatGPTで見た」と言います。会議では、同じ製品を使ったことになります。
同じにはなりません。8月6日の更新は、チャット側です。Work はこのリリースでは変わっていません。二人が見ている月が違うのに、見積の前提は一行です。一行が「ChatGPT」だと、差分は人の感覚になります。感覚の差分は、顧客に渡せません。
このとき残すのは、どちらが正しいかではありません。どちらを正本にするかです。見積の数字を Work で見たなら、見積に Work と書く。文章のトーンをチャットで整えたなら、整えた画面と月を書く。二つを混ぜた仕事は、混ぜたことを書く。書かない混ぜ方は、来週の「前回と違う」を呼びます。
社内の確認欄も、同じ型で足ります。「確認者」の隣に「画面」を置く。置けない確認は、確認した人の記憶です。記憶は、休みの週に消えます。消える確認を、手順書の「ChatGPTで確認」に戻してはいけません。
性能比較は、版を固定したあとにする
比較したくなる週です。スライダーがある。Free には Think ボタンも案内されています。比較は、版が分かったあとにすればよい。版が分からない比較は、別の製品を並べているのと同じです。
比較する仕事を一つに限る、というやり方もあります。見積の下書きだけ。社内文書の整理だけ。顧客文の下書きだけ。一つに限ると、画面も月も残りやすい。全部の仕事で「最新」を追うと、名前だけが最新になります。
自動実行の既定が変わる話と、版が分かれる話は、同じ月に重なることがあります。重なったときは、設定を触るかと、版を書くかを分けます。設定は自分の画面の話です。版は、相手と共有する話です。共有する話を、設定画面の奥に置いてはいけません。見積の先頭に置きます。
同じ製品名のまま、中身が分かれる週は、これからも来ます。来たときに残すのは、性能の感想ではありません。どの画面の、何月の版か。それだけです。
同じ製品名のまま版が分かれるとき、見積と手順に残す一行から整理します。tugiloは、性能比較の前に前提の置き場所を決めます。