システムは「作る前」に8割決まっているという話
- システム開発や業務改善を「とりあえず作ってみる」で進めて、手戻りや使われない経験がある方
- 作る前に何を決めるべきか知りたい経営者・担当者
- スピードと品質のバランスを取りたい方
はじめに
「とりあえず作ってみましょうか」
この言葉は、前向きで、スピード感もあって、
一見すると正解に見えます。
ですが、システム開発の現場に長くいると、
この一言があとから一番高くつく場面を何度も見てきました。
- 作ったのに使われない
- 修正が止まらない
- 何のためのシステムか分からなくなる
こうした問題は、
作ってから起きたように見えて、
実はほとんどが「作る前」に決まっています。
よくある「失敗プロジェクト」の空気
使われなくなるシステムには、
驚くほど共通した空気があります。
- 誰のためのものか曖昧
- 現場と管理側で期待がズレている
- 「もう作っちゃったから」という諦め
誰かが悪いわけではありません。
むしろ、全員が真面目です。
ただ、
作る前に立ち止まる時間がなかった。
それだけで、
プロジェクトは少しずつ歪んでいきます。
「作りながら考える」は万能ではない
最近は、
「まず作って、走りながら考える」
という考え方が広く知られるようになりました。
このアプローチ自体は、間違っていません。
ただし、成立する条件があります。
- 何を検証するかが決まっている
- 小さく作っている
- 失敗しても戻れる
これがないままの
「とりあえず作る」は、
単なる行き当たりばったりです。
現場では、
修正の積み重ね=改善だと思い込んでしまう。
でも実際には、方向が合っていないことが多い。
「作る前」に8割が決まる理由
では、作る前に何が決まっているのか。
tugiloが特に重視しているのは、次の3つです。
① 誰の、どの仕事を楽にしたいのか
「現場のため」「みんなのため」
この言葉では、何も決まりません。
- どの部署か
- どの作業か
- どの瞬間が一番しんどいのか
ここまで具体化できると、
システムの輪郭は一気にはっきりします。
逆に、ここが曖昧なまま作ると、
誰のためか分からないシステムになります。
② 何を変えて、何を変えないのか
システム導入=全部変える、ではありません。
- 今のやり方でうまくいっている部分
- 無理に変えると混乱する部分
- 人がやったほうが早い部分
これを決めずに作ると、
現場はこう感じます。
「また新しいルールが増えた」
この瞬間、
システムは"外から来たもの"になります。
③ 失敗したときに戻れるか
どれだけ考えても、
システムは一発で正解にはなりません。
だからこそ、
- 元の運用に戻せるか
- 並行運用できるか
- 小さく試せるか
この設計が、作る前に決まっているかどうかが重要です。
戻れないシステムは、
現場を黙らせます。
要件定義より前にやるべきこと
「要件定義をしっかりやりましょう」
これは正しい。
ただ、tugiloでは
その前に必ずやることがあります。
- 現場の話を聞く
- 業務を紙に書き出す
- なぜ困っているのかを掘る
この時間を飛ばして要件定義をしても、
綺麗な資料はできますが、
使われるシステムにはなりません。
「作らない判断」も立派な設計
もう一つ、大切な話があります。
システム開発では、
作らないという判断も設計の一部です。
- それは運用で解決できないか
- ルールを変えたほうが早くないか
- 人がやったほうが安心ではないか
この判断をせずに作ると、
システムは"目的のない箱"になります。
作り始めると、引き返せなくなる
システムは、作り始めると、
- お金が動く
- 期待が生まれる
- 「やめる」が言いづらくなる
だからこそ、
本当に考えられるのは作る前だけです。
この時間をどう使うかで、
プロジェクトの8割は決まります。
それでも「作る」ことが悪いわけではない
誤解してほしくないのは、
作ること自体が悪いわけではない、ということです。
問題は、
- 何のために作るのか
- どこまで作るのか
- どう育てるのか
これを決めずに作ること。
作る前に考える時間は、
遠回りに見えて、一番の近道です。
まとめ
システムは、
作る前に8割決まっています。
- 誰のためか
- 何を変えるか
- どう戻れるか
この3つが整理されていれば、
システムは現場に馴染みます。
逆に、
ここを飛ばすと、
完成しても使われません。
私たちは、
「何を作りますか?」とは聞きません。
「どこが一番しんどいですか?」
そこから一緒に考えます。
作ることはゴールではありません。
楽になることがゴールです。
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