実践

事務のデータ入力作業をAIで削減:OCRとAIで帳票処理を自動化

事務職の方が毎日対応する「データ入力作業」。手入力で2時間かかっていた帳票処理を、OCRとAIを活用して30分に短縮する方法を、tugiloが現場で実践している型で解説します。

事務のデータ入力作業をAIで削減:OCRとAIで帳票処理を自動化

OCRだけ入れて形式が合わず二重入力になった、というケースはよくあります。帳票は「どこまで読ませて、どこから人か」を切らないと、確認工数が増えるだけです。

事務職の方が毎日対応する「データ入力作業」は、入力フォーマットと例外を決めてから初めて、短縮に近づきます。tugiloが現場で使っている型をまとめます。

よくある失敗パターン
  • OCRで読み取ったが、文字認識の精度が低くて手直しが多い
  • 帳票の形式が統一されていなくて、自動化できない
  • データの整合性が取れなくて、後で修正作業が発生

原因は「帳票の形式統一」と「データ検証ルール」を先に決めていないことです。

データ入力作業の「入力→処理→出力」を分解する

tugiloが現場で使う分解方法です。まず業務を3つに分けます。

1
手順

Step 1:入力の整理

  • 帳票の画像/PDFをOCRで読み取り
  • 文字認識とデータ抽出(氏名、金額、日付、その他)
  • 例外: 手書きが読みにくい、複数ページ、特殊フォーマット

Step 2:処理(データの検証・分類)

  • データの妥当性チェック(金額、日付、必須項目)
  • データの分類(科目、部門、プロジェクト)
  • 例外: データが不完全、分類が不明確、検証エラー

Step 3:出力(データの登録)

  • データベースへの登録(CSV、Excel、システム)
  • データの整合性確認(重複チェック、エラーチェック)
  • 例外: システムエラー、データの不整合、承認が必要

そのまま使える:データ入力プロンプトテンプレ

tugiloが実際に使っているプロンプトです。OCRで読み取ったデータを入力して、検証と分類を行います。

以下の帳票データを検証し、分類してください。

【OCRで読み取ったデータ】
- 氏名: [氏名]
- 金額: [金額]
- 日付: [日付]
- その他: [その他の情報]

【帳票の種類】
- 種類: [経費精算/出勤簿/その他]
- 部門: [営業部/開発部/管理部/その他]

【出力形式】
データの検証と分類を以下の形式で出力してください。

1. データの検証
   - 必須項目の確認(氏名、金額、日付が入力されているか)
   - データ形式の確認(金額が数値か、日付が正しい形式か)
   - データの妥当性(金額が0円でないか、日付が未来日付でないか)

2. データの分類
   - 科目: [経費/旅費/通信費/その他]
   - 部門: [営業部/開発部/管理部/その他]
   - プロジェクト: [プロジェクト名、該当する場合]

3. エラーチェック
   - エラー項目: [エラーがある項目、該当する場合]
   - エラー理由: [エラーの理由、該当する場合]
   - 修正案: [修正案、該当する場合]

【注意事項】
- データが不完全な場合は、「要確認」フラグを付与
- データの整合性が取れない場合は、「要確認」フラグを付与
- OCRの読み取り精度が低い場合は、「要確認」フラグを付与
実践例:経費精算書の自動処理
```
以下の経費精算書をOCRで読み取り、データを抽出してください。

【経費精算書の画像】
[画像をアップロード]

【出力形式】
- 氏名、金額、日付、摘要の抽出
- 科目の自動分類(経費/旅費/通信費/その他)
- データの検証(必須項目、データ形式、妥当性)
- エラーチェック(エラー項目、エラー理由、修正案)
- CSV形式での出力
```

運用の型:3段階の確認ルール

OCRとAIで処理したデータは、必ず3段階で確認します。これで「ミスを見逃す」リスクを最小化します。

第1段階:自動チェック

  • 必須項目が入力されているか
  • データ形式が正しいか(金額が数値か、日付が正しい形式か)
  • データの妥当性(金額が0円でないか、日付が未来日付でないか)

所要時間: 自動(0分)

第2段階:AI判定

  • OCRの読み取り精度(文字認識の正確性)
  • データの分類の妥当性(適切な科目、部門に分類されているか)
  • データの整合性(重複チェック、エラーチェック)

所要時間: 2分/件

第3段階:人間の最終確認

  • 「要確認」フラグが付いたデータ
  • 高額案件(一定金額以上)
  • 新規取引先や特殊な要件

所要時間: 5分/件(全体の15%程度)

実践的なOCR設定方法

tugiloが実際に使っているOCR設定方法です。これに従うことで、読み取り精度が向上します。

1
手順

1. 帳票の形式統一(事前準備)

  • 帳票のフォーマットを統一する
  • 手書きの場合は、読みやすい文字で記入してもらう
  • 複数ページの場合は、ページ番号を付与する

2. OCRの設定

  • 読み取り対象の領域を指定する
  • 文字認識の言語を設定する(日本語、英語)
  • 読み取り精度の閾値を設定する(80%以上)

3. データの検証ルール設定

  • 必須項目の定義(氏名、金額、日付)
  • データ形式の定義(金額は数値、日付はYYYY-MM-DD形式)
  • データの妥当性チェック(金額の範囲、日付の範囲)

4. エラーハンドリング

  • エラーが発生した場合の処理方法を定義する
  • 「要確認」フラグが付いたデータの確認方法を定義する
  • 修正後の再処理方法を定義する

帳票の形式統一:ベストプラクティス

tugiloが実際に使っているベストプラクティスです。これに従うことで、自動化が容易になります。

フォーマット統一

項目の配置: 氏名、金額、日付などの項目を固定位置に配置

文字の種類: 手書きの場合は、読みやすい文字で記入

ページ番号: 複数ページの場合は、ページ番号を付与

チェックボックス: 選択項目はチェックボックスを使用

データの形式統一

金額: 数値のみ、カンマなし(例: 50000)

日付: YYYY-MM-DD形式(例: 2026-01-15)

氏名: 姓と名を分ける(例: 山田 太郎)

その他: 摘要は50文字以内、科目は選択式

KPI:時間と精度を測る

tugiloが現場で測っている指標です。

データ入力時間: 2時間 → 30分(75%削減

OCR読み取り精度: 70% → 90%(20ポイント向上

データの整合性: 80% → 95%(15ポイント向上

手戻り率: 25% → 5%(80%削減

失敗を避ける:3つのチェックポイント

失敗パターン1:帳票の形式統一を後回しにする

症状: OCRで読み取ったが、帳票の形式が統一されていなくて手直しが多い

対策: 最初に「帳票の形式統一」が重要。フォーマットを統一し、項目の配置を固定する。

失敗パターン2:OCRの設定を軽視

症状: OCRで読み取ったが、文字認識の精度が低くて手直しが多い

対策: 「OCRの設定を最適化する」ことが重要。読み取り対象の領域を指定し、文字認識の言語を設定する。

失敗パターン3:データ検証ルールを後回しにする

症状: データを登録したが、整合性が取れなくて後で修正作業が発生

対策: 最初に「データ検証ルール」を決める。必須項目、データ形式、妥当性チェックを定義する。

実践的なエラーハンドリング方法

tugiloが実際に使っているエラーハンドリング方法です。

1
手順

1. エラーの検出

  • 自動チェックでエラーを検出
  • AI判定でエラーを検出
  • 人間の最終確認でエラーを検出

2. エラーの分類

  • 軽微なエラー: 自動修正可能(例: 日付形式の変換)
  • 中程度のエラー: AIで修正案を提示(例: 科目の分類)
  • 重大なエラー: 人間が確認が必要(例: 金額の不一致)

3. エラーの修正

  • 軽微なエラーは自動修正
  • 中程度のエラーはAIの修正案を確認して修正
  • 重大なエラーは人間が確認して修正

4. 修正後の再処理

  • 修正後のデータを再検証
  • 整合性を確認
  • 問題がなければ登録

関連記事

まとめ

データ入力作業をAIで効率化するポイントは3つです。

  1. 帳票の形式統一を先に決める: フォーマットを統一し、項目の配置を固定
  2. OCRの設定を最適化する: 読み取り対象の領域を指定し、文字認識の言語を設定
  3. KPIで測る: 時間だけでなく、OCR読み取り精度も見る

「AIツールを入れる」だけでなく、運用の型を設計することが成功の鍵です。

この記事がよかったらいいねを押してね

次廣淳のプロフィール写真

次廣 淳(つぎひろ あつし)

執筆者

tugilo(ツギロ)
中小企業向けに、業務改善・システム開発・AI活用支援を行っています。

これまで、予約管理システム・業務支援ツール・社内向け管理システムなど、実務で使われるWebシステムの設計・開発・運用を担当してきました。

AI活用については、「導入して終わり」ではなく業務に定着するか/事故が起きないかを重視して設計しています。

この記事では、実際の案件や検証を通じて得られた判断基準・失敗しやすいポイントを中心に解説しています。

※ 本記事は、実務での検証や判断経験をもとに整理した内容であり、特定のAIツールやサービスの利用を推奨・勧誘するものではありません。

AI駆動開発 業務効率化 中小企業支援

関連ツール

この記事の内容に関連する無料ツールです。ぜひご活用ください。

AIを活用した業務改善をお考えですか?

tugiloでは、AI駆動開発により、従来の1/8の開発期間で高品質なシステムを提供しています。

無料相談する