ドキュメントは全部Markdownでいい理由

―― AI時代に「構造」が持つ本当の価値

この記事はどんな人向けか
  • AIを導入したがうまくいかない経営者・担当者
  • 資料が散らばっていてAIに投げづらい現場責任者
  • ドキュメント運用を見直したい方

結論から言うと、AIが使えない理由は「プロンプトの質」ではなく情報の形がバラバラだからです。 構造を持たせると、AIの理解度も人の共有も一気に変わります。以下では、Markdownで整える考え方とtugiloでの実践をまとめます。

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AIは"文章"ではなく"構造"を読んでいる

AIは自然言語を扱います。でも実は、もっと重要なのは構造です。

  • 見出しの階層(H1、H2、H3の関係)
  • セクションの区切り(水平線や空行による明確なブロック)
  • 箇条書き(「・」や「-」で列挙された項目)
  • 定義と説明の分離(何が定義で、何が補足か)
  • コードブロックや引用(技術的な説明や他者引用)

こういった構造があると、AIは驚くほど理解しやすくなります。「この段落は要件の定義だ」「ここからは例外処理の話だ」と文脈を把握できるからです。

逆に、

  • 見出しが太字なだけ(階層がない)
  • 改行で雰囲気を作っている(AIには「空行の意味」が伝わらない)
  • 1ページに全部書いてある(テーマの境目が見えない)
  • 重要事項が文章の中に埋もれている(探すコストがかかる)

こうなると、人もAIも迷います。AIの精度が低いのではなく、入力の形が曖昧なのです。同じ内容でも、構造の有無で回答の質は大きく変わります。


Markdownは"AIと会話できる形式"

Markdownは派手ではありません。見た目も地味です。ですが、実務では圧倒的に強い。なぜか。

1. 構造が明確

# 見出し1
## 見出し2
### 見出し3
- 箇条書き

これだけで階層が定義されます。AIにとっては、「ここがテーマ」「ここが詳細」「ここが補足」と一目で分かる状態です。

2. テキストベース

装飾ではなく、純粋な情報。Wordのようにフォントサイズや色に依存しない。つまり、意味がそのまま残る。PDFや画像にした情報は、AIが読み取りにくい。テキストのまま残しておけば、コピペも検索も、AIへの投入も一瞬です。

3. 差分管理ができる

Gitで管理すれば、

  • どこが変わったか
  • 誰が直したか
  • いつ変えたか

全部追えます。これはチームになった時に効いてきます。属人化を防ぎます。ExcelやWordだと「最新版はどれ?」となりがちですが、Gitなら履歴が一元的に残ります。

4. 変換自在

Markdownは、HTML、PDF、スライド(Marp)、Web記事、何にでも変換できます。元データは1つ。ここが本質です。


具体例:会議メモが「AIに投げられる資産」になる

たとえば打合せメモが、メール本文やチャットに散っているとします。1週間後に「決まったのは何だっけ?」となったとき、人は検索します。AIに聞いても、材料がバラバラだと曖昧に要約されます。

Markdownで最低限、次の形に揃えるだけで状況が変わります。

  • 決定事項(確定したこと)
  • 未決定(保留・次回持ち越し)
  • 次のアクション(誰が・いつまでに)

これが構造です。AIは「決定」と「未決定」を混ぜなくなり、次の提案(リスク、抜け漏れ、代替案)も安定します。人間側も「何が未確定か」が見えるので、判断が進みます。


最低限の運用ルール(チームで崩れない)

Markdownは「書ける」だけだと、結局バラつきます。tugiloでは最低限、次のルールだけを先に決めます。これだけで運用が崩れにくくなります。

  • 見出しの粒度:H2は「論点」、H3は「理由・例・手順」にする
  • 決定/未決定の明記:曖昧な言い回しを残さず、状態を分ける
  • 更新日/担当の明記:古い情報が混ざるのを防ぐ

完璧なドキュメントより、更新され続けるドキュメントのほうが価値があります。AIも、人も、最新の前提で判断できるからです。


AI導入より先にやるべきこと

AIを入れる前に、やるべきことがあります。

それは、情報を整えること構造化すること

AIは「整理された情報」を食べると強くなります。逆に、散らかった情報を入れると、それなりの答えしか返しません。情報がExcel・Word・メール・Slackに分散し、同じ用語でも人によって意味が違う。そんな状態でAIに投げても、ブレた回答しか返ってこないのは当然です。

AI活用の成功事例を見ると、「ChatGPTを使いました」と書いてありますが、本当はその裏に、

  • 定義された業務フロー
  • 整理された要件
  • 構造化されたドキュメント

があることが多いのです。成功している会社ほど、AIを入れる前に「何を判断材料とするか」を言語化している。そこが差になっています。


tugiloではどうしているか

tugiloでは、ほぼすべてをMarkdownで書いています。

  • 要件定義
  • Fit & Gap
  • 実装計画
  • 進捗管理
  • Cursorへのプロンプト
  • 提案資料の原稿

全部テキストです。なぜか。AIに投げやすいからです。そして、差分が見えるから

進んでいるのか、止まっているのか。どこが決まっていて、どこが未確定か。一目で分かります。これは経営者にとっても大きい。「何が決まっていないか」が見えるからです。クライアントとの打合せでも、「この部分が未確定です」と具体的に示せる。曖昧な「進めてます」より、はるかに信頼が積み上がります。


Word文化が悪いわけではない

誤解してほしくないのは、Wordが悪いわけではありません。

問題は、

  • 構造が曖昧なまま運用していること
  • 情報が散在していること
  • 版管理ができていないこと

です。もしWordを使うなら、見出しスタイルを徹底する、章立てを明確にする、版数管理をする。これだけでも違います。でも、Markdownのほうがシンプルで速い


AIを賢くする一番簡単な方法

プロンプトを工夫することではありません。高いツールを入れることでもありません。

一番簡単なのは、ドキュメントを整えること構造を持たせること

これだけで、AIの回答の質は変わります。そして、人の理解も変わります。まずは1本の業務フローから、見出しをつけて箇条書きにする。そこから始めれば十分です。完璧を目指さなくていい。形になっているかどうかが、最初の一歩です。


まとめ:問われているのは「どれだけ整えているか」

AI時代と言われます。でも、本当に問われているのは、「どれだけ整えているか」です。情報を。業務を。思考を。

Markdownは単なる記法ではありません。構造を意識する習慣です。AIとちゃんと会話したいなら、まずは文章を整える。プロンプトを磨くより先に、ドキュメントを整える。そこから始めるのが、いちばん早い近道かもしれません。遠回りに見えて、実は最短です。

tugilo視点まとめ

構造化されたドキュメントがあるから、AIの回答が安定する。tugiloは要件定義から進捗までMarkdownで管理しています。整えるところから、一緒に始めませんか。

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tugiloから一言

私たちは、ほぼすべてをMarkdownで書いています。AIに投げやすく、差分が見える。経営者にも「何が決まっていないか」が伝わります。ドキュメントを整えるところから、一緒に始めませんか。

ドキュメント運用やAI活用でお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。