AIツールを増やすほど現場が疲れる理由
―― 業務 × 人 × 運用疲れの正体
- AIツールを導入したのに現場が楽にならない経営者・現場責任者
- 「便利なはずなのに」と違和感を感じている担当者
- 業務・人・運用の設計を見直したい方
AIツールを入れたのに、なぜか現場が楽になるどころか、前より疲れている。
そんな声を、ここ最近よく聞くようになりました。
ChatGPT、スプレッドシート、Notion、Slack、社内ツール。 それぞれは便利なはずなのに、気づけば「どこを見ればいいのか分からない」「結局、前より考えることが増えた」そんな状態になってしまう。
この違和感の正体は、AIの性能不足ではありません。業務 × 人 × 運用の設計にあります。
「便利なツール」が疲労を生む構造
相談の場では、AI導入がうまくいかない現場でよくこの状態になっています。
- 業務ごとにツールが増えていく
- 情報の置き場所がバラバラになる
- 判断のたびにツールを行き来する
- 「で、今どれが正解?」となる
これは作業量が増えているというより、判断コストが増えている状態です。
人は、「考えなくていいこと」が減ると楽になります。 逆に、「毎回どこを見るか決めなきゃいけない」と、一気に疲れます。
AIツールが増えすぎると、この「考えなくていいはずの判断」が逆に増えてしまう。
疲れているのは、能力の問題ではない
ここで一番やってはいけないのが、「使いこなせない人が悪い」という見方です。
現場で起きているのは、AIが苦手、ITリテラシーが低い、といった話ではありません。設計されていない運用を、人の頑張りで何とかしようとしているだけです。
どんなに優秀な人でも、毎回ルールが変わるゲームをやらされれば疲れます。 AI導入が失敗する現場では、相談の場で「人ががんばってカバーする前提」になっているケースをよく見かけます。
業務 × 人 × 運用を分けて考える
ここで一度、視点を整理します。
業務:何をやっているのか、毎回同じか判断が必要か、成果物は何か。
人:誰が使うのか、判断が得意な人か苦手な人か、属人化していないか。
運用:どこから始めてどこで終わるか、情報の入口と出口はどこか、迷ったときの戻り先はあるか。
AIは業務の一部を助ける道具であって、運用そのものを考えてくれる存在ではありません。 運用を考えずにツールだけ増やすと、現場は確実に疲れていきます。
tugiloが最初に聞く「3つの質問」
tugiloに相談が来たとき、ツールの話の前に必ず聞くことがあります。
- 今日一番、「どこを見るか」で迷った作業は何ですか?
- その情報は、今どこにありますか?(ツール名を挙げてもらう)
- 判断に迷ったとき、誰に聞きますか?それとも自分で決めますか?
この3つに答えてもらうと、たいてい「情報が散らばっている」「判断のたびに複数ツールを開いている」という状態が浮かび上がります。 相談の場では、疲れの原因がツールの数ではなく入口が増えていることだと分かることがほとんどです。
tugiloの相談では、この「入口が増えている」状態をいったん図にしてもらうことがあります。 業務の流れと、その都度参照するツールやファイルを線でつなぐだけ。
すると、「この判断のたびに3つ開いてる」「ここで毎回迷ってる」といったポイントが一目で分かります。 そこを1つにまとめるだけで、現場の負担はかなり減ります。
AIの入口は「1つ」でいい
tugiloでは、AI導入の相談を受けるとき、まずこの話をします。
AIの入口は1つでいい
- 入力する場所はどこか
- 判断の途中経過はどこに集まるか
- 最終的に人が見るのはどこか
これが決まっていない状態で、「便利そうだから」とツールを足していくと、疲労は確実に積み上がります。
最初から完璧な設計は作りません。固めすぎないから、現場に合わせて直していける。 でも、入口だけは曖昧にしない。これが、運用疲れを防ぐ一番の近道です。
「ツール疲れ」になっていないか、簡単なチェック
現場が疲れているかどうか、次の3つをチェックしてみてください。
- 「今どれが正解?」と言う人が増えていないか … 情報の置き場所がバラバラだと、判断のたびに迷う
- 「結局、自分でまとめてる」人がいないか … ツールが増えると、誰かが「つなぎ役」になっている
- 新しいツールを入れるたびに、前のツールの使い方が変わるか … 入口が増えるほど、運用が不安定になる
1つでも当てはまったら、業務×人×運用の整理から入ることをおすすめします。
入口を1つに絞るとは、ツールを1つだけ使うという意味ではありません。「この業務の判断に必要な情報は、ここを見れば分かる」という拠点を1つ決めることです。 そこに集約できれば、Slack や Notion や Excel が複数あっても、迷わずに済みます。
相談の場でtugiloが「要注意」と判断する場合
tugiloに相談が来たとき、最初のやりとりで「まず入口を整理してからツールの話をしよう」と判断することがあります。
- 「便利そうだから」と複数ツールを並行して試している場合 → どのツールがどの業務の入口か、いったん整理することを提案します。
- 「情報はあちこちにあるけど、結局Excelでまとめてます」という状態 → 入口が増えすぎている典型です。まとめ役を減らす設計から入ります。
- 「ツールごとにやり方が違うので、マニュアルが追いつかない」という声がある場合 → 運用の設計が追いついていません。ツール追加はいったん止めて、現状の流れを可視化するところから始めます。
入口を1つに絞るか、少なくとも「メインの入口」を決める。ここで止まるか、回り始めるかが分かれます。
運用を整理するとき、tugiloでは「一度ツールを増やすのを止める」ことを提案することがあります。 新しいツールを足す前に、今あるものの入口を整理する。 それだけでも、「どこを見ればいいか分からない」という声は減ります。
ツールの数ではなく、情報の流れを整えることが先、という考え方です。
AI導入の失敗は、技術の話ではない
AIが原因で疲れているのではありません。考える順番を間違えているだけです。
- どの業務で
- 誰が使って
- どう回すのか
この3つを先に決める。AIはそのあとで十分です。
ツールが増えるほど疲れるのは、ツールが悪いからではありません。業務と人と運用の順番で考えていないからです。 まず「誰が、何を、どう回すか」を整理する。そのうえで、必要ならツールを足す。 この順番を守るだけでも、現場の疲れ方はかなり変わります。
まとめ
AIは、人を置き換えるためのものではありません。人が疲れない仕組みを作るための道具です。
次回は、「AI導入で一番最初に壊れるのは、ベテランのやり方だった」という、もう一歩踏み込んだ「人の話」を書こうと思います。
tugiloから一言
私たちは、ツールを増やす前に必ず「業務 × 人 × 運用」を一緒に整理します。入口を1つに絞るだけでも、現場の疲れ方は確実に変わります。
AIツールの導入でお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。