AI導入が進むほど「決められなくなる」?意思決定疲れを減らす現場の処方箋(中小企業版)
AIを入れたら楽になるはずだったのに、なぜか疲れる。
情報は増えた。提案も増えた。選択肢も増えた。
でも――「決める」回数だけが増えて、夜に頭が止まらない。
これ、あなたの気合い不足じゃないです。
現場で起きているのは、意思決定疲れ(decision fatigue) です。
- AIを業務に取り入れ始めたが、逆に“考えること”が増えた
- ChatGPTや各種AIツールの提案が多すぎて、選べなくなっている
- 社内の相談・承認が増えて、判断が滞っている(でも止めたくない)
結論から言うと、意思決定疲れは「判断回数」より「未確定の蓄積」が原因。 「今日決めること/決めないこと」の棚卸しと判断軸の固定で、決め続けられる状態を作れます。以下では、tugiloの現場で効いている5つの型をまとめます。
関連記事:
AIが「考える」ほど、人は「決める」ことになる
AIは、案を出すのが得意です。
比較表も、リスクも、代替案も、秒で出ます。
ただ、それは裏を返すと、こういうことです。
- 以前は「Aで行こう」で済んだ場面が「A/B/C/D…」になる
- 以前は「上司に聞けばOK」だったのが「上司に聞く前に資料が必要」になる
- 以前は「迷う前にやってみる」だったのが「迷う材料だけ増える」になる
AIが仕事を前に進めるほど、最終判断の責任は人に戻ってきます。
つまり、AI導入が進むほど「決める作業」が増える。これは自然な副作用です。
そして中小企業の現場では、決める人がだいたい決まっています。
経営者、管理職、現場のキーマン。
この人たちの脳内がパンパンになると、現場は止まります。
意思決定疲れの正体は「判断回数」ではなく「未確定の蓄積」
意思決定疲れは、「判断回数が多い」だけで起きるわけではありません。
本当に削っているのは、未確定が積み上がる状態 です。
未確定が積み上がると、頭の中でずっとバックグラウンド処理が走ります。
- “決めなきゃ”が常駐する
- 何を優先すべきか毎回考え直す
- 結局、最後は気合いで押し切る
そして、気合いで押し切ると、どこかで反動が来ます。
ミス、差し戻し、言い方のきつさ、判断の遅さ、体調。
ここで大事なのは、精神論ではなく「仕組み」にすることです。
仕組みにすると、人は優しくなります。自分にも、周りにも。
tugiloの現場で効く「決める負荷」を減らす5つの型
ここからが本題です。
tugiloが現場で実際に使っている「意思決定疲れの減らし方」を、抽象論ではなく運用の型としてまとめます。
1) 「今日決めること / 今日決めないこと」を先に書く
迷うときは、だいたい“全部”を同じ重さで抱えています。
まず、紙でもSlackでもいいので書きます。
【今日決める】{例:問い合わせ返信の方針、見積の前提確認の質問3つ}
【今日決めない】{例:来月の新サービス案、サイトのキャッチコピー最終案}
【保留にする理由】{例:情報不足、関係者不在、優先度低}
「今日決めない」を明文化すると、不思議なくらい楽になります。
やる気の問題じゃなくて、脳のメモリの問題です。
2) “決める前”にAIを使う(決めるためにAIを使う)
AIは「決める」役ではなく、「決める材料を整える」役です。
おすすめは、決める前に 論点を揃える こと。
- 選択肢の比較(メリデメ・リスク・前提条件)
- 不足情報の抽出(要確認リスト化)
- 決め方の提案(判断軸の候補)
3) “判断軸”を固定する(毎回の迷いを削る)
判断軸が毎回変わると、判断は重くなります。
例えば「早い・安い・安全」のどれを優先するかがブレると、決められません。
なので、決めます。
迷ったら戻る“軸”を作る。これだけで判断は軽くなります。
【何を最優先するか】{例:納期、品質、事故防止、顧客体験}
【絶対に捨てない条件】{例:個人情報は扱わない、金額確定は人がやる}
【妥協していい条件】{例:文章の美しさ、完璧な網羅}
4) 決める人の“入力”を減らす(定型はテンプレ化する)
決める人が毎回「説明」を書いていると疲れます。
ここは入力テンプレで固定します。
- 背景を毎回書き直す
- 条件を毎回思い出す
- 過去の判断を探して貼る
関連記事の通り、入力がボトルネックです。
(参考:AIを使っても仕事が速くならない理由は「入力」にある)
5) 「保留」を悪にしない(保留の基準を作る)
保留は逃げではありません。
保留は“条件が揃っていない”という判断です。
ただし、保留が増えるとしんどい。
だから保留の基準を作ります。
1. 事実が未確定(推測で決めると事故る)
2. 関係者が不在(合意が必要)
3. 影響範囲が不明(後で揉める)
→ どれかに当てはまれば保留。保留時は「次に揃える情報」を1つだけ決める。
まとめ:AI時代の強さは「判断の速さ」ではなく「判断の体力の温存」
AIが賢くなるほど、選択肢は増えます。
だから大事なのは“速く決める”より、決め続けられる状態を作ることです。
あなたが疲れているのは、頑張っていないからではありません。
ちゃんと背負っているからです。
だからこそ、背負い方を変えましょう。
- 「今日決めること/今日決めないこと」を先に書く。 未確定の蓄積が疲れの正体。保留を明文化するだけで楽になる。
- 判断軸を固定する。 迷ったら戻る軸を作る。毎回の迷いを削る。
- tugiloは「決める前」にAIを使う。 AIは決める役ではなく、決める材料を整える役。選択肢の比較・要確認リスト化・判断軸の候補をAIに任せる。
AI導入後に「決めることが増えて疲れた」という相談、実は一番多いです。業務と判断の棚卸しから、一緒に“回る型”を作れます。