思考の壁打ちという使い方

―― AIはアイデア装置ではなく、精度装置かもしれない

この記事はどんな人向けか
  • AIを「発想・アイデア出し」に使っている方
  • ブレストや思考整理でAI活用を深めたい方
  • マネジメント寄りのAI活用に興味がある方

結論から言うと、AIはアイデアを増やす装置ではなく、思考を磨く装置として使うと効く。 壁打ち相手にすることで、前提の穴をあぶり出し、検討の精度を上げられる。ブレスト=発散ではなく、整理に近い。以下では、tugiloでの壁打ちの使い方とマネジメント型AI活用をまとめます。

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ブレスト=発散、ではない

ブレストというと、とにかく量を出す、制約を外す、広げる、そんなイメージがあります。

でも、私がブレストと言うときは少し違います。やっているのは、頭の中にある前提を書き出す、自分では見落としている論点を探す、思考の穴をあぶり出す、判断軸を言語化する。どちらかというと、整理に近い。広げるよりも整える。増やすよりも磨く。アイデアを100個出すより、10個の論点をしっかり検討するほうが、判断の精度は上がります。


頭の中管理は危うい

シニアになればなるほど、「分かっているつもり」になります。業務の流れ、判断基準、優先順位、例外対応。全部、頭の中にある。自分では当たり前のことが、外からは見えない。

でも、それは危うい。人は、自分の前提を疑いにくい。慣れているからこそ、飛ばしている論点がある。AIとの壁打ちは、そこを露出させてくれます。「この前提、本当に正しいですか?」と問いかけてくれる相手がいるだけで、思考の穴に気づける。


思考を外に出すということ

壁打ちでまずやることは、正解を求めることではありません。自分の考えを、いったん外に出す。こう考えている、前提はこれ、ゴールはここ、制約はこれ。文章にする。相手に伝わる形で書くだけで、自分の思考が整理される。

すると、自分でも気づきます。「あれ、この前提って本当に正しい?」「この例外、考えてなかったな。」思考は、頭の中よりも外に出したほうが正確です。書いている途中で、論点の抜けに気づくことも多い。


AIは"逆張り役"にもなる

壁打ちの面白いところは、AIがこちらの想定を裏切ってくることです。別の視点、逆の立場、想定外のリスク、現実的な懸念。それをそのまま採用するわけではありません。大事なのは、検討する材料が増えること。アイデアを増やすのではなく、検討の精度を上げる。ここが違いです。AIは「逆張り役」として、自分の盲点を指摘してくれる相手になります。


8割までAI、最後は自分

よく「AIに任せる」と言いますが、任せきることはありません。AIは8割まで。論点整理、代替案提示、抜け漏れ指摘。ここまではAIが速い。でも最後の2割、優先順位を決める、リスクを取る、責任を持つ。ここは人間です。壁打ちは、その2割を磨くための時間。AIが「こういう選択肢もあります」と提示してくれれば、人間は「どれを選ぶか」に集中できる。


マネジメント型のAI活用

コードを書くためにAIを使う人もいます。私は少し違います。設計を整理する、判断を明確にする、構造を見つける。ここに使っています。これは生粋のプログラマというより、マネジメント寄りの思考です。AIは実装装置というより、設計の補助輪。だから相性がいい。設計が曖昧な状態でコードを書かせても、ブレたものができる。まず設計を整える。そのためにAIを使う。


壁打ちの具体例:判断を磨く

たとえば、新しい案件の受注を迷っているとき。「この案件、受けるべきか」とAIに投げてみる。すると、AIは「条件は?納期は?既存案件との優先順位は?」と問い返してくる。自分では「なんとなく不安」と思っていたことが、具体的な論点として出てくる。答えを出してくれるわけではない。でも、検討すべき材料が整う。あとは人間が決める。その決断の質が、壁打ちで上がる。一人で悩むより、前提を外に出して整理する。その相手としてAIを使う。これが、tugilo流の壁打ちの使い方です。


続けるコツ:壁打ちの「型」を固定する

壁打ちが続かない理由は、質問が毎回ふわっとしているからです。tugiloでは、壁打ちの型を固定します。型があると、短時間でも精度が出ます。

  • 前提:何が決まっていて、何が未決定か
  • 制約:納期・予算・リソース・譲れない条件
  • 判断:何を選ぶか(やる/やらない、A/B)

この3つを先に書いてから投げると、AIの返しも安定します。逆に「どう思う?」だけだと、一般論が返ってきやすい。壁打ちは、問いを磨く練習でもあります。


やらないこと:AIに結論を委ねない

壁打ちで一番やってはいけないのは、「AIが言ったから」で決めることです。AIは材料整理と視点追加は得意ですが、責任は取れません。

tugiloでは、壁打ちの最後に必ず「自分の判断」を一行で書きます。

  • 今回はAを選ぶ(理由は○○)
  • 今回は見送る(条件が揃っていない)

この一行があるだけで、壁打ちは「答え合わせ」ではなく「判断を磨く工程」になります。結果として、迷いが減り、決断が速くなります。もし迷いが残るなら、判断を保留にして「次に確認する材料」まで落とし込む。ここまでできると、壁打ちは実務に直結します。


壁打ちで起きる変化

思考を外に出し続けると、前提が言語化される、判断基準が明確になる、例外が見えてくる、不安が減る。これは個人事業主にとって大きい。頭の中に抱え込んでいると、常に負荷がかかる。外に出すだけで、軽くなる。壁打ち相手がいることで、「いつでも相談できる」という安心感も生まれる。一人で抱え込まなくていい。


AIは魔法ではない

壁打ちをしていて分かるのは、AIは万能ではないということです。曖昧な問いには、曖昧な答えが返る。でも、前提を明確にし、目的を整理し、制約を示すと、精度が上がる。つまり、こちらの整理力が問われる。AIは鏡のようなものかもしれません。自分の曖昧さが、そのまま返ってくる。

だからこそ、壁打ちは「自分の思考を磨くトレーニング」になる。続けるほど、問いの立て方がうまくなる。アイデアを増やす装置として使うと、AIの力は半分以下。思考を磨く相手として使うと、本当の価値が出ます。tugiloでは、設計・判断・構造の整理にAIを壁打ち相手として使っています。


まとめ:思考の壁打ちは精度を上げる装置

思考の壁打ちは、派手な活用ではありません。でも確実に効きます。アイデアを増やすよりも、迷いを減らす。スピードを上げるよりも、精度を上げる。AIを"答えを出す装置"にするのではなく、自分の思考を磨く相手にする。それがtugiloの使い方です。

個人事業主は、判断を一人で抱え込みがちです。壁打ち相手がいれば、「この前提で合ってる?」「この例外は?」と問いかけられる。自分では気づかない論点の抜けに、AIが気づいてくれる。遠回りに見えて、実は最短。思考の壁打ちは、これからの時代の基礎トレーニングかもしれません。

tugilo視点まとめ

AIは発想を広げる装置というより、思考を磨く壁打ち相手。tugiloでは設計・判断・構造の整理にAIを使っています。一緒に考えを整えませんか。

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tugiloから一言

tugiloでは設計・判断・構造の整理にAIを使っています。アイデアを増やすより、思考を磨く。壁打ちの相手として、一緒に考えを整えませんか。

思考の整理やAI活用の進め方でお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。