そのKPI、誰が何のために見ていますか? 選び方の前に決めること

この記事はどんな人向けか
  • ダッシュボードや報告用のKPIを決めようとして、何を選べばいいか迷っている方
  • 「見える化」を進めたのに、現場が数字に振り回されていると感じる方
  • 経営層・現場・担当者で、見るべき指標の認識がバラバラだと感じている方

「KPIを決めよう」という話は、よく聞きます。売上、粗利、稼働率、問い合わせ数、リード数……。選ぶべき数字は山ほどある。でも、何を選ぶかより先に、決めておくことがあるのです。


「何を見せるか」の前に、「誰が何のために見るか」

KPI選びでよくあるパターンは、「とりあえず重要そうな数字を並べる」ことです。経営が欲しがりそうなもの、業界でよく使われる指標、前例がある数字。並べた結果、画面には20個も30個も指標が並び、誰がどの数字を本当に見ているのか、誰も分からなくなる

tugiloでは、見える化の相談を受けるとき、必ずこう聞きます。

  • その数字は、誰が見ますか?
  • 見たあと、その人は何を判断し、何をしますか?
  • 見ない人にまで同じ画面を見せていませんか?

「見る人」を決めるだけで、会社は速くなるでも書いたように、「全員が見られる」は「誰も見ていない」に等しいことが多い。KPIも同じです。選び方の前に、誰の、どんな意思決定を支える数字なのかを決める。そこが抜けると、KPIは「作った安心」で終わります。


KPIが増えすぎる理由は、「見る人」が決まっていないから

「この数字も必要」「あれも入れておこう」とKPIが増える背景には、「誰が何のために見るか」が曖昧なことがあります。

  • 経営は全体の粗利を見たい
  • 現場リーダーは自分のチームの稼働と品質を見たい
  • 営業はリード数と成約率を見たい

それぞれ見る人と目的が違うのに、同じダッシュボードに全部載せると、誰にとっても「自分の数字」が埋もれてしまう。結果、「とりあえず全部作る」になり、運用が重くなり、誰も更新しなくなる。

KPIの選び方で迷ったら、一度こう切り替えてみてください。「何を見せるか」ではなく、「誰に、何を判断してもらうために、どの数字を1つ(または少数)見せるか」。選ぶのは、その人と目的が決まったあとで十分です。


選び方の手順を逆にする

一般的なやり方は、「KPI候補を挙げる → 絞る → ダッシュボードに載せる」です。これを、「誰が・何を判断するか → その判断に必要な数字は何か → それだけ載せる」に変える。

  1. 見る人を特定する(役割・意思決定の単位でよい)
  2. その人が「見たあとに取る行動」を1つ決める(例:稼働が落ちていたら誰に声をかけるか)
  3. その行動に直結する数字を、1つか2つに絞る
  4. それ以外は、その人用の画面には出さない

こうすると、KPIの数は自然に減り、「見る人」ごとに画面を分ける設計になりやすい。 ダッシュボードを作る前に、決めるべき5つのことで触れた「何を決めてから作るか」の一つが、まさにこの「誰が何のために見るか」です。


現場の違和感から始める

「KPIを決めろ」と言われて、しっくりこない感覚があるなら、それは「誰のための数字か」が共有されていない可能性が高いです。

  • 毎日数字を取っているのに、誰も見に来ない
  • 会議で出てくる数字と、現場が気にしている数字が違う
  • 更新コストばかりかかって、判断には使われていない

そんな違和感があるなら、「KPIの選び方」を議論するより先に、「この数字で誰が何を決めるか」を話し合う時間を取ってみてください。選び方の基準は、そのあとから付いてきます。


まとめ

  • KPIで迷ったら、「何を選ぶか」より先に「誰が何のために見るか」を決める。
  • 「見る人」が決まらないと、数字は増えるばかりで、誰の意思決定も支えられない。
  • 手順を逆にして、見る人 → 取る行動 → 必要な数字の順で絞る。
  • 現場の違和感(誰も見ない・判断に使われない)は、「誰のための数字か」が曖昧なサインになり得る。

そのKPI、誰が何のために見ていますか? 選び方の前に、そこを決めることから始めてみてください。

KPIや見える化の設計で「誰に何を見せるか」を一緒に整理したい方は、お気軽にご相談ください。現場の意思決定に効く指標の絞り方からお手伝いします。