AIに聞く前に、「何をしてほしいか」を一文で書く
- ChatGPTやAIを使ってみたけれど、答えがいまひとつ使いにくい人
- 難しいプロンプトより、まず日々の仕事で使える一歩を知りたい人
- AI活用をチームに広げる前に、簡単な使い方の型を作りたい人
AIを使うとき、多くの人が最初に気にするのはプロンプトです。
良いプロンプトとは何か。 どんな命令文を書けばいいのか。 役割を与えたほうがいいのか。 条件を細かく書いたほうがいいのか。
もちろん、プロンプトの工夫は大切です。
でも、最初から難しく考えすぎると、AIを使う前に疲れてしまいます。
誰にでもできる最初の一歩は、もっと手前にあります。
AIに聞く前に、何をしてほしいかを一文で書くことです。
たとえば、
「この文章を短くしてほしい」 「このメモから、次にやることを三つに分けてほしい」 「この問い合わせに返す文面を、やわらかい言い方にしてほしい」 「この会議メモから、決まったことと未決定を分けてほしい」
このくらいで十分です。
AI活用が難しく見える理由の一つは、最初から完璧な答えを出そうとすることです。
でも実務では、AIにいきなり完成品を作らせるより、まず作業を一段だけ軽くしてもらうほうが使いやすい。
そのために必要なのが、「何をしてほしいか」の一文です。
AIに聞いているつもりで、実は相談がぼやけている
AIに質問するとき、よくあるのが次のような聞き方です。
「この文章どう思う?」 「いい感じにして」 「これをまとめて」 「業務改善案を出して」
これでもAIは何か返してくれます。
ただ、その答えが使えるかどうかは別です。
なぜなら、AIから見ると、何をしたらよいのかが曖昧だからです。
「この文章どう思う?」と言われても、見る観点はいくつもあります。
誤字を見ればいいのか。 短くすればいいのか。 読みやすくすればいいのか。 営業文として強くすればいいのか。 社内向けにやわらかくすればいいのか。
人間同士でも同じです。
上司や同僚に「これ、どうですか」と聞いたとき、相手が困ることがあります。
何を見ればいいのか分からないからです。
AIも同じです。
AIは賢いので、曖昧な相談にもそれらしい答えを返します。 でも、こちらが欲しいものを言っていなければ、答えは遠回りになります。
だから、AIに聞く前に一文だけ足す。
「誤字を見てほしい」 「お客様向けにやわらかくしてほしい」 「箇条書きにしてほしい」 「次にやることだけ抜き出してほしい」
これだけで、答えの方向が変わります。
良いプロンプトを覚える前に、まず「依頼」をはっきりさせる。
それが、AIを仕事で使う最初の練習になります。
一文の型は「素材」と「作業」に分ける
「何をしてほしいか」を書くとき、難しい言葉は必要ありません。
次の二つに分けるだけで十分です。
- 素材: 何を渡すか
- 作業: どうしてほしいか
たとえば、
「この会議メモを、決まったことと次にやることに分けてください」
この一文には、素材と作業があります。
素材は「この会議メモ」。 作業は「決まったことと次にやることに分ける」。
別の例です。
「この問い合わせ文を、お客様に失礼のない返信文にしてください」
素材は「この問い合わせ文」。 作業は「返信文にする」。 条件は「失礼のない」。
さらに簡単にするなら、次の形で書けます。
「この〇〇を、□□にしてください」
これだけです。
- このメモを、箇条書きにしてください
- この文章を、短くしてください
- この案を、メリットと不安点に分けてください
- この説明を、初めて読む人にも分かるようにしてください
- この作業を、手順に分けてください
AI活用は、最初から高度な命令文を作る必要はありません。
むしろ、日々の仕事で使うなら、誰でも同じように書ける型のほうが大切です。
チームで使う場合も同じです。
「AIを使っていいです」とだけ言われても、現場は迷います。
でも、
「文章を渡すときは『この〇〇を、□□にしてください』の形で始める」
と決めるだけなら、誰でも試せます。
小さな型があると、AIは特別な人の道具ではなくなります。
完成品を求めるより、次の作業を軽くする
AIに期待しすぎると、逆に使いにくくなることがあります。
最初から完璧な提案書を作ってほしい。 すぐ送れるメールを作ってほしい。 そのまま使える企画書を作ってほしい。
そう思うほど、AIの答えに対して「ちょっと違う」と感じやすくなります。
もちろん、AIがかなり近いものを出してくれることもあります。
でも、仕事で安定して使うなら、最初の目的は完成品ではなく、次の作業を軽くすることに置くとよいです。
たとえば、問い合わせメールを書く前に、
「この内容を、返信に入れる要点だけにしてください」
と聞く。
AIの答えをそのまま送らなくても、返信の材料になります。
会議メモを整理するときも、
「このメモから、決定事項・未決定・担当者不明の三つに分けてください」
と聞く。
これも完成品ではありません。 でも、次に人が確認する場所が見えます。
提案資料を作るときも、
「このサービス説明を、お客様が不安に感じそうな点に分けてください」
と聞く。
AIが出した答えを見ながら、人が足したり直したりする。
この使い方なら、AIに仕事を丸投げしている感じになりません。
人の判断を残しながら、作業の手前を軽くできます。
誰にでもできるAI活用は、AIに全部任せることではありません。
自分の作業を一段だけ分けて、その一段を手伝ってもらうことです。
チームで使うなら、例文を三つ置くだけでいい
AI活用をチームに広げるとき、最初から大きなルールを作りすぎると続きません。
禁止事項。 利用範囲。 プロンプト集。 承認ルール。 セキュリティ基準。
もちろん、必要なルールはあります。
ただ、最初の一歩としては、全員が使える例文を三つ置くだけでも十分です。
たとえば、社内に次の三つを共有します。
- 「この文章を、社外向けにやわらかくしてください」
- 「このメモを、決定事項と次にやることに分けてください」
- 「この作業を、初めての人向けの手順にしてください」
これなら、専門知識がなくても使えます。
しかも、仕事の中で使う場面が多い。
文章を整える。 メモを分ける。 手順にする。
この三つは、ほとんどの職場で出てきます。
ここで大切なのは、「AIを使いこなす人」を増やすことではありません。
AIに何を頼むかを言える人を増やすことです。
頼み方が分かると、AIの答えに対しても判断しやすくなります。
「これは依頼と違う」 「ここは使える」 「ここは人が直す」
そう分けられるようになります。
AI活用が現場に定着するかどうかは、ツールの性能だけでは決まりません。
現場の人が、小さな依頼を言葉にできるかどうか。
そこから始まります。
今日の一歩は、AIを開く前に一文を書くこと
今日からできることは、シンプルです。
AIを開く前に、次の一文を書いてみてください。
「この〇〇を、□□にしてください」
〇〇には素材を入れます。
メモ。 文章。 問い合わせ。 説明文。 作業内容。 箇条書き。
□□には、してほしい作業を入れます。
短くする。 分ける。 並べる。 やわらかくする。 手順にする。 確認点を出す。
最初はうまく書けなくても構いません。
一度書いてみると、自分が何を頼みたいのかが見えてきます。
AIに聞く前に、自分の依頼を一文にする。
これは、AIを使うためだけの練習ではありません。
人に仕事を頼むときにも効きます。 会議で相談するときにも効きます。 業務を整理するときにも効きます。
仕事は、頼みたいことが曖昧なままだと、相手もAIも迷います。
一文にすると、自分でも「まだ決めていなかったこと」に気づけます。
短くしてほしいのか、分けてほしいのか、言い方を変えてほしいのか。
そこが見えるだけで、AIの答えを待つ前に仕事は少し整理されています。
もし一文が書けないなら、AIに聞く内容が悪いのではなく、まだ依頼の形になっていないだけです。
その場合は、無理に質問を完成させず、
「私は何を軽くしたいのか」
を一度だけ考えるところからで十分です。
だから、最初の一歩はプロンプト集ではなく、一文の依頼です。
「この〇〇を、□□にしてください」
明日も使える小さな型として、まず一回だけ試してみてください。
AIを現場で使い始めるなら、難しいプロンプトより「何を頼むか」の整理が先です。小さな依頼の型づくりから、一緒に始められます。